日本司法支援センター(法テラス)はダメ、違憲(6)

6 法テラスは独占禁止法・下請法違反
需要と供給のバランスによって価格が決まるしくみを市場(しじょう)と言います。1999年に司法制度改革審議会設置法によって内閣に設置された司法制度改革審議会(司法審)は、弁護士を増やし、弁護士報酬の決定は、市場における多数の弁護士の自由競争に委ねられるべきであるという方針を打ち出しました。そのような考え方は、司法審発足前から次第に強まってきたものです。それ以前は、弁護士の営利活動は制限すべきだとされ、広告宣伝も厳格に規制されていました。

日本の弁護士人口は、1990年には1万3800人、その10年後の2000年には約1万7000人でしたが、司法審の最終報告書が公表された後、2010年には約2万9000人、2020年には約4万2000人と急激に増加しました。弁護士の広告宣伝も原則的に自由化され、テレビCMも見かけるようになっています。

そこで問題になるのが、マチ弁と桁違いの大きな財力を持ち、権力にも支えられている法テラスの存在です。私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)19条は、事業者が不公正な取引方法を用いることを禁止しています。

「不公正な取引方法」は、独占禁止法2条9項に定められています。
第3号 「正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」
第6号 「公正取引委員会が指定するもの」

独占禁止法に基づいて公正取引委員会が指定した不公正取引第6項(不当廉売)には、「不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。」が挙げられています。

又、法テラス(資本金3億5100万円)と契約して法律事務を行う弁護士は、形式的には、事件の依頼者から報酬を受け取ることになっていますが、実質的には親事業者である法テラスの下請として役務を提供する立場になります。既に述べましたように、法テラスは、契約弁護士に実質的に報酬を支払うという立場から、契約弁護士に対し、報酬決定権や監督権を持っているのです。

下請代金支払遅延等防止法(下請法)4条1項5号は、「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」を禁止しています。これは、親事業者の優越的地位濫用の一形態です。

これらの法規制を前提として、法テラスと弁護士の関係を検証してみましょう。まずは、法律扶助事件に従事する弁護士と法テラスとの契約段階です。
弁護士の増加で、マチ弁一人当たりの事件数が減っていることもあり、少しでも仕事を増やしたいという弁護士にとっては扶助事件も貴重な収入源です。従って、法テラスと契約して扶助事件の仕事をやりたいマチ弁に対して、民事事件の集客を行う巨大な組織である法テラスは明らかに優越的な地位を占めます。そして、法テラスは、「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額」を一方的に定めています。
問題は「不当に」定めているかどうかですが、このような低額の報酬を正当とする理由を法テラスから聞いたことはありません。

独占禁止法や公正取引委員会が定める不当廉売も問題になります。前述の「正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの」、「不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあること。」に該当する取引です。法テラスは、不当に低い報酬で弁護士の役務を提供し、弁護士全体の報酬の相場を引き下げることによって、法テラスと契約していない弁護士の事業活動を困難にさせるおそれのある状況を生み出しています。その「正当な理由」を法テラスから聞いたことはありません。しかも、法律扶助事件は、相談者・依頼者の資力が一定以下であることが必要とされていますが、法テラスは、ことあるごとに法律扶助事件の範囲を拡げようとします。すると、法テラスと契約しないマチ弁は、圧迫を受けることになります。