モンゴルの草原で日本企業の子会社が大火災を引き起こしたこと
本年(2026年)10月8日、モンゴル東部ヌムルグ自然厳重保護区に日本のKDDIの子会社モビコム株式会社の社員らが自動車5台で乗り入れ、モビコムの越智康博CEOが乗っていた車から出火し、草原の枯れ草に燃え広がって、1週間以上燃え続け、東京都の2倍以上の面積が焼失しました。
保護区は中国との国境に接しており、中国は3400人以上の専門チームを投入して大規模な消火活動を行い、同月16日、やっと消火できたということです。
越智康弘氏は同月14日、次のようにお詫びの言葉を述べました。「自然環境に与えた損害を深く遺憾に思い、モンゴルの皆様に心よりお詫び申し上げます。私たちは社会的責任をしっかり果たすべきだと考えております。調査に協力して、調査結果に基づいて責任のある対応を行います。自然環境の回復に責任を持って取り組みたい。消火活動に当たっている皆さんに感謝します。」
こんな大規模火災なのに、日本では同月21日まで報道されませんでした。日本のメディアは事実を隠蔽しようとした疑いがあります。私が知ったのは、ネットのおかげです。
在モンゴル日本大使館が、ヌムルグ自然保護区における火災発生に関するお見舞いメッセージを公表したのは、同月22日でした。メッセージの内容は次のとおりですが、半分他人事のようで、外務省の程度の低さが分かります。
「今般、ドルノド県ヌムルグ自然保護区において、モビコム社の車両火災を起因として発生した草原火災に関して、被害の大きさを深刻に受け止めており、非常に心を痛めております。モンゴル国民の皆様に対して心からお見舞いを申し上げます。
今回の草原火災に関する調査等が、客観的事実と法律に基づき適正に行われることを期待しております。
被害地域の回復を心から願うとともに、そのための協力をモビコム社と積極的に検討していく所存です。」
以上です。
モビコムの親会社KDDIは、同月23日、「モンゴルのヌムルグ自然保護区において2026年10月8日に発生した草原火災についてのお詫び」と題する文を公表しましたが、これもひどいものです。内容は次のとおりです。
「当社は、子会社でモンゴルの総合通信事業者であるMobicom Corporation LLC(以下 モビコム)の活動に関連し、2026年10月8日にモンゴル東部ドルノド県ハルハゴル郡のヌムルグ自然保護区で発生した草原火災(以下 本火災)について、モンゴル国民の皆さまをはじめ、関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを、深くお詫び申し上げます。
また、本火災の消火および延焼防止のため、昼夜を問わず消火活動に尽力いただいたモンゴル当局の皆さま、地域住民の皆さまをはじめ、すべての皆さまに心より感謝を申し上げます。
現在、モンゴルの関係当局による、火災の発生状況や原因などについての調査が継続されており、モビコムおよびモビコムの社員は、当該調査に全面的に協力しています。
一方、本火災に関しては、多くの皆さまが疑問や懸念を抱かれ、さまざまな憶測も含む事実と異なる発信がなされるなか、モビコムにおいて現時点で確認している事実関係を整理し、公表できる状況となったことから、2026年10月23日に同社が公表しました。
当社もモビコムの公表を踏まえ、現時点で確認している事実関係について以下の通り報告いたします。
なお、しています。本火災についてはモンゴルの関係当局が調査中ですが、当社は、モビコムの社員がその他法令違反行為を行っていないことを確認
1. ヌムルグ自然保護区への訪問目的
(1)背景
モビコムは2018年以降、モンゴル国内の遠隔地および国境地域における通信インフラの整備・拡充に継続的に取り組み、地域社会の発展と通信環境の向上に貢献することを目的に事業を推進しています。
近年では、ハルハゴル国境警備隊の各拠点への4G通信ネットワークの導入や、通信用の光ファイバー回線の整備を国境港湾局などの要請に基づき進め、国境地域における通信環境の改善に努めてきました。
このたび、ヌムルグ自然保護区内の全拠点における4G通信ネットワークの整備およびスンベル国境検問所までの光ファイバーの敷設が完了しました。
(2)訪問目的
このような背景のもと、モビコムの社員は2026年10月6日から8日にかけて、国境港湾局の要請に基づき、以下の目的でヌムルグ自然保護区を訪問しました。本火災は下記の訪問中、車両による移動時に発生したものです。
[1] モビコムが整備した通信ネットワークの開通式典への出席
[2] 4G通信ネットワークの通信品質などの現地確認
2. ヌムルグ自然保護区での行動
モビコムの社員は、国境警備隊が発行した入域許可に基づき、2026年10月6日から8日にかけてヌムルグ自然保護区内で行動していました。当該許可が発行されていた事実については、2026年10月13日に国境警備総局(国境警備隊の管理元)が公表した声明においても確認されています。
また、ヌムルグ自然保護区内での行動ならびに移動は、国境港湾局によってすべて管理・監督され、移動中はモビコムの社員の車両2台の前後に、当局の車両3台が車列の先頭および最後尾を走行する体制がとられていました。
なお、ヌムルグ自然保護区の通信品質などの調査において、当局が指定したエリアに、当局の管理のもと移動し、モビコムの社員が現地で確認を行っています。
また、モビコム所有の車両は2台で、社員は計7名(2名の運転手を含む)が乗車していました。当時同行していた日本人はモビコムの越智CEOのみであり、モビコム社員が運転する車両に乗車していました。
3. 本火災の経緯
ヌムルグ自然保護区内は草丈が高く、路面状況も厳しい環境であることから、モビコムの社員の車両は、国境港湾局の車両による先導および後方支援のもと、安全に留意し、低速にて走行していました。枯草が車両下部に付着し火災が発生することを避けるため、安全管理上、車両は20~30分ごとに停車し、車両に付着した枯草を除去しながら移動していました。
2026年10月8日の移動中、枯草を除去するため停車していた際、モビコムの社員の乗車する車両下部からの発煙を確認しました。
その後、国境港湾局およびモビコムの社員は、当局の指示に基づき消火活動を行いましたが、火が周囲の草に燃え移り、延焼をくい止めることができませんでした。火災はその後、広範囲に拡大しました。なお、車両下部から発煙した具体的な原因や延焼が拡大した要因は関係当局が調査を行っています。
4. 今後の対応
当社はモビコムの親会社として、今後の関係当局の調査について、モビコムとともに全面的に協力していきます。
モビコムは、モンゴルにおいて30年にわたり事業を展開してきた企業であり、当社もまた、その社会的責任を強く感じております。当社は、本火災による自然環境への影響を極めて重く受け止め、被害を受けた自然環境の状況把握と早期回復、地域の環境保全に向けた取り組みを、モビコムおよび関係当局と連携しながら積極的に行っていきます。
モンゴル国民の皆さまをはじめ、関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、重ねて深くお詫び申し上げます。」
以上です。
KDDIは、早々と、「当社は、モビコムの社員が法令違反を行っていないことを確認しています。」と、責任追及への予防線を張り、「多大なご迷惑とご心配」へのお詫びで済ませようというのです。
木原稔官房長官は出火から2週間以上経った今月26日の記者会見で、
「被害の大きさを深刻に受け止めている。モンゴル国民の皆さまに心からお見舞いを申し上げる」
と述べたとのことですが、「お見舞い」とは、やはり他人事のようです。中国が行った消火活動への言及もありません。
出火から19日目の10月27日、やっと茂木外相が記者会見で、
「日本政府としても、被害の大きさを深刻に受け止めており、モンゴル国民の皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
日本政府として、本日午後、森林・自然環境保護分野のJICA専門家をモンゴルに派遣することといたしました。今後、派遣する専門家からの報告も踏まえつつ、外務省として、モンゴル政府とも緊密に意思疎通しながら、モンゴルに必要な機材の供与や、火災復興・環境回復分野での人材育成等、被害地域の回復にも資する協力をパッケージとして行っていく考えです。」
と述べたとのことです。
やはり、「お見舞い」で、他人事のようですし、中国への言及もありません。
こんな礼儀知らずの外交で恥ずかしくないのかと思います。
現地は車の乗り入れが禁止され、保護区の管理担当者も馬で移動していたとか、モビコムの社員らは自然保護区で絶滅危惧種の魚を釣る予定だったという情報もあり、写真では、黒こげになった車は横転しており、出火原因の説明にも疑問があります。
枯れ草に火が付くとすごいスピードで燃え広がることは、私も昔、我が家の庭で落ち葉などを燃やしていた時に経験したことがあります。あわてて、燃え出した枯れ草にバケツの水をかけて消火しました。枯れ草がせいぜい膝ぐらいの高さしかなく、バケツに水を汲んでそばに置いてあったから、無事に消火できました。
自然保護区の草原となると、枯れ草に火が付いたらバケツの水では消火できないと思います。そんな所に乗り入れるのに、どんな消火器を用意して行ったのでしょうね。
