マチャド氏のノーベル平和賞受賞に対する疑惑
The Grayzoneというニュースサイトに、ウィキリークス(WikiLeaks)の創設者であるジュリアン・アサンジ氏の報告書が紹介されています。
今年のノーベル平和賞受賞者はヴェネズエラの反体制派指導者マリア・コリナ・マチャド氏でしたが、アサンジ氏によると、それは、ノルウェーのノーベル委員会の設立文書に定められた原則とスウェーデンの法律に違反しており、マチャド氏に平和賞とそれに伴う1100万スウェーデン・クローナ(118万米ドル)の賞金を授与するという決定は、「ノーベル財団の基金から得られた資金が慈善目的から転用され、侵略、人道に対する罪、戦争犯罪を助長するために使用される現実的なリスクがある」ということです。
マチャド氏は、既に、自分が受けたノーベル賞をトランプ大統領に捧げると意思表明していますが、アサンジ報告はその背景を暴露しています。今回のマチャド氏の受賞に関わった人々は、アサンジ報告によると、次のとおりです。
まず、マチャド氏を平和賞に推薦したのは、トランプ政権のマルコ・ルビオ国務長官でした。現在、トランプ大統領はヴェネズエラの民間船舶を攻撃し、死者も出ています。国連人権高等弁務官事務所は、民間船舶に対する米軍の攻撃を「超法規的処刑」と呼んでいるとのことです。
自称人権団体オスロ自由フォーラムの創設者トール・ハルヴォルセン・ジュニア氏がマチャド氏の受賞に影響を与えた可能性が指摘されています。同氏はCIAの工作員であり、ウゴ・チャベス大統領就任前のベネズエラで要職を歴任した裕福なベネズエラ貴族の息子で、西側諸国が標的とする政府の打倒を公然と訴え、西側諸国が支援する政権転覆活動家ネットワークを統括しているということです。又、同氏は、チャベス大統領とマドゥロ大統領に対する数々の軍事クーデターの首謀者であり、伝統的に過激派野党の先導役を務めてきた米国政府が支援する人民意志党の創設者でもあるレオポルド・ロペスの従兄弟でもあるというのです。
ハルヴォルセン氏とノルウェー・ノーベル委員会の橋渡しをしたのがノルウェーに拠点を置くフリット・オルド財団だということです。同財団は、オスロ自由フォーラムに資金を提供するとともに、ノーベル委員会のヨルゲン・ワトネ・フリドネス委員長に2021年の表現の自由賞を授与したという関係があります。
フリドネス委員長はウクライナ代理戦争支援を専門とするシンクタンク「ノルウェー・ヘルシンキ委員会」の元理事で、同委員会は、ハルヴォルセン氏のオスロ自由フォーラムの正式なパートナーであり、支援者でもあるということです。
ノーベル平和賞の5人の審査員の1人であるクリスティン・クレメット氏はノルウェーの政治家であり、2017年にフリット・オルド財団から表現の自由賞を受賞し、オスロ自由フォーラムと正式に提携しているシンクタンク「チヴィタ」のマネージングディレクターだということです。
フリドネス委員長は、マチャド氏にノーベル賞を授与するスピーチの中で、ベネズエラのマドゥロ大統領の退陣を促し、マチャド氏に「民主的な」政権移行を主導させるよう求めたとのことで、政治的中立性を疑わせます。
アサンジ氏は、世界最高峰の平和構築機関を自称するノーベル委員会にとって、暴力による政権転覆を公然と支持する人物にノーベル賞を授与したことで生じた損害を取り消すには、もはや手遅れかもしれないと述べ、「ノーベル平和賞受賞者という高い地位を利用して、マチャド氏はすでに戦争に有利な方向に均衡を傾けている可能性がある」と結論づけたとのことです。
アサンジ氏の報告書は以上です。マスメディアではマチャド氏の英雄的な行動が賞賛されるばかりですが、現在、いわゆる西側情報の信憑性には十分注意する必要が有ります。
