「日米同盟」によって日本に迫る戦争の危機

1945年(昭和20年)8月の日本敗戦の後、日本の大多数の国民は、戦争の悲惨さと愚かしさを身にしみて自覚し、その愚かしい戦争を引き起こしたのは、我々の政府であることを知りました。だからこそ、日本国憲法の前文には、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」たと書かれているのです。

その決意を具体化したのが、政府に戦争の権限を与えず、軍隊を持たせないという憲法9条です。

それにもかかわらず、政府は憲法9条を少しずつ浸蝕して、自衛隊という名の軍隊を持ち、日米安保を元にして「日米同盟」をでっち上げました。

その結果、日本が戦争に巻き込まれる危険は最高潮に達しています。

ロシアのウクライナ侵攻を見て、ウクライナは正義だ、ロシアは悪魔だ、ロシアを敗戦に追い込むべきだと言っている人々は、事実を直視していません。

戦争が起きるには、そこに至る経緯があります。ウクライナがアメリカによってロシアと代理戦争をさせられているという実態(側面と言っても同じことですが。)を見なければ、日本に迫っている危機も見えません。危機を指摘している人々がいるのに、それを馬鹿にして、その声を聞こうとしない人が大多数であることに慄然とします。

ここで、私は、1900年(明治33年)に田中正造が衆議院に提出した「亡国に至るを知らざれば之れ即ち亡国の儀に付質問」を想い起こします。そこには次のように書かれています。
民を殺すは国家を殺すなり。
法を蔑にするは国家を蔑にするなり。
皆自ら国を毀つなり。
財用を濫り民を殺し法を乱して而して亡びざる国なし。之を奈何。

今、何が起こっているかと言えば、アメリカのナンシー・パトリシア・ペロシ下院議長が議員団と共に、近く台湾を訪問する予定であること、それに対し、中国は、ペロシ下院議長が台湾を訪問するなら「断固とした強硬な措置」に踏み切ると警告したことが報道されています。

つまり、ペロシ下院議長が台湾訪問を強行すれば、中国は軍事行動も辞さないと警告しているのです。もし、中国が軍事行動に出たら、それはアメリカに対する攻撃であり、日本は自動的に参戦することになると考えられています。

そうすると、中国から見て、日本の基地は、米軍基地であると自衛隊の基地であるとを問わず、敵基地ですから、いつ、どこに中国のミサイルが飛んできてもおかしくないのです。日本は中国を相手に、アメリカの代理戦争を余儀なくされます。

その時、民間人には弾は当たらないという保障はありません。戦争とはそんなものでしょう。それどころか、原発に弾は当たらないという保障もありません。日本の政府がこれまでに、一方では平和外交を脇に置いて、他方では日本をいかに危険な状態にしてきたかを知るとともに、危機を回避するにはどうすべきかを真剣に考えないといけない状況です。