弁護士吉田孝夫の憲法の話(5) 敗戦(ポツダム宣言受諾)

日本本土への空襲は1942年(昭和17年)に始まり,1945年(昭和20年)には,連合国軍が沖縄上陸作戦を行いました。沖縄では日本の軍隊は住民を守るどころか住民を犠牲にして戦いましたが,連合国軍は,6月にはほぼ沖縄全土を支配下に収めました。

そのような状況で,7月26日,アメリカ,中国,イギリスの3カ国が日本に対し,降伏を勧告する宣言を通告しました。これがポツダム宣言と呼ばれるものです。その主な内容は,次のようなものです。

① 日本の軍国主義的勢力,権威,権力の排除。
② 連合国軍による占領。
③ カイロ宣言の条項の履行。
④ 日本の主権の限定(本州,北海道,九州,四国等)。
⑤ 日本の軍隊の帰還の条件。
⑥ すべての戦争犯罪人に対し,断固たる裁判を行う。
⑦ 日本政府は,人民の民主主義的風潮を強化,復活に対する障害を排除し,言論,宗教,思想の自由等の人権の尊重を確立するものとする。
⑧ 日本はその産業の維持,経済の持続を許されるものとし,もって実物賠償の履行に充てるものとする。この目的のため,原材料の入手,将来の,世界貿易取引関係への参加も許されるものとする。
⑨ 占領は,日本人民の自由な意思による平和的かつ責任ある政府が樹立された後に終了する。

日本がポツダム宣言を受諾して連合国に降伏したのは,広島,長崎に原爆が投下された後の8月14日でした。ポツダム宣言の受諾によって,明治憲法の見直しが必至となりました。