児童相談所(児相)と違憲の人身保護法制(2)

児相といえば、子どもが親から虐待されて死亡したというニュースが報道され、児相は正義の味方だと思われる方も多いことでしょう。もちろん、児相は多くの場合、子どもの救済に役立っていると思います。しかし、児相の一時保護には、保護の正当性を事前にチェックする機会がなく、一時保護の後は所長に全権が委ねられ、保護された子どもと親との面会を完全に断ち切られ、学校に通うこともできないというような、制度的な問題があることも確かです。

以下は、ある母子家庭の小学校1年生の子が児童相談所に一時保護され、それに対する人身保護請求を行った事件の顛末です。

6月11日朝 子どもはいつものように自宅を出て小学校に集団登校同日午後5時
子どもが帰宅せず、母が小学校に問い合わせ、子どもが児相に連れて行かれたことが判明。母が児相に行ったが、子どもに会うことも出来ず。

同月12日児相所長から母に、一時保護決定通知書。

同月26日人身保護請求。

同月27日
裁判所は、合議体(裁判長小田島靖人)で審理及び裁判する旨決定。書記官が,請求者代理人に電話で請求の趣旨の訂正,理由の補足等の打診。

参考
人身保護法9条
適法な請求があり,移送しない場合,審問期日の調べのために準備調査をすることができる。

同法12条
裁判所は、請求のあつた日から1週間以内に審問期日を開かなければならない。
審問期日には、審問のために請求者又はその代理人、被拘束者及び拘束者を召喚する。
拘束者に対しては、被拘束者を審問期日に出頭させることを命ずると共に、審問期日までに拘束の日時、場所及びその事由について、答弁書を提出することを命ずる。
同命令書には、拘束者が命令に従わないときは、勾引し又は命令に従うまで勾留することがある旨及び遅延1日について、500円以下の過料に処することがある旨を附記する。

同法14条
審問期日における取調べは、被拘束者、拘束者、請求者及びその代理人の出席する公開の法廷において行う。

7月3日 審問期日の期限であるが、裁判所はそれを無視し、審問を行わずに、準備調査をする旨決定。
書記官が,児童相談所の担当者に電話をして,一時保護の経緯を聴取。
書記官が,児童相談所に書面で、7月10日までに意見を記載した陳述書を提出するよう求める。

同月5日 書記官が,児童相談所の担当者に電話をして,児童相談所の書面について打ち合わせ。

同月9日 拘束者が裁判所に答弁書(被拘束者は自らの意思に基づいて拘束者の一時保護下にとどまっており,拘束ではない旨。)を提出。

同月20日 請求棄却決定。

参考
人身保護法11条
準備調査の結果、請求の理由のないことが明白なときは、裁判所は審問手続を経ずに、決定をもつて請求を棄却する。

7月24日 請求棄却の決定書謄本を請求者と拘束者に発送。

同月25日 同決定書謄本到達。

同日    抗告状発送。

同月30日 抗告状補正の申立書及び理由補充書発送。

10月1日 最高裁第一小法廷、特別抗告棄却決定。理由「本件抗告の理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、特別抗告の理由に該当しない。」