日本司法支援センター(法テラス)はダメ、違憲(3)

3 金を出すから口も出すというのは正しいか

要するに、国選弁護人は被告人のために仕事をして、被告人は弁護人に報酬を支払うべきところ、法テラスがとりあえず被告人に代わって報酬を支払うに過ぎないので、法務省の実質的下部機関である法テラスが、法務省から干渉されるべきでない弁護活動や個々の活動の報酬等に口出しをするのは憲法と矛盾し、不当です。

実際、法テラスが弁護人に支払う報酬や費用の額は非常に不十分で、国選弁護の多くは弁護士の犠牲、もしくは不十分な弁護しか受けられない被告人の犠牲によって成り立っている現状について、弁護士は国と対決するべきです。ところが、法テラスの根拠法である総合法律支援法10条は次のように、弁護士等の協力義務を定めています。

(日本弁護士連合会等の責務)
第十条 日本弁護士連合会及び弁護士会は、総合法律支援の意義並びに弁護士の使命及び職務の重要性にかんがみ、基本理念にのっとり、会員である弁護士又は弁護士法人による協力体制の充実を図る等総合法律支援の実施及び体制の整備のために必要な支援をするよう努めるものとする。
2 弁護士及び弁護士法人は、総合法律支援の意義及び自らの職責にかんがみ、基本理念にのっとり、総合法律支援の実施及び体制の整備のために必要な協力をするよう努めるものとする。
3 隣接法律専門職者及び隣接法律専門職者団体は、総合法律支援の意義及び自らの職責にかんがみ、基本理念にのっとり、総合法律支援の実施及び体制の整備のために必要な協力をするよう努めるものとする。」

日弁連は国策に従順に法テラスに協力し、大多数の弁護士も従順にそれに従っています。

2004年11月、日弁連臨時総会で成立した弁護士職務基本規程49条は、国選弁護について、法テラスが支払うもの以外に対価を受領することや、私選弁護に切り替えるよう働きかけることを禁止し、国選弁護人の弁護士を法テラスに従属させています。
弁護人の選任は私選弁護が原則で、国選弁護は例外です。このことは、1990年8月から9月にかけて開催された第8回国連犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する会議で採択された「弁護士の役割に関する基本原則」第1項に、「何人も、刑事手続の全ての段階で、自己の権利を擁護し、防御するために、自ら選んだ弁護士の援助を求める権利を有する。」と書かれていることからも明らかです。そうすると、被疑者・被告人は、いつでも国選弁護をやめて私選弁護に切り替える自由があります。弁護人が私選弁護に切り替えるよう働きかけることを禁止する理由がありません。

弁護士職務基本規程49条について、日弁連弁護士倫理委員会編著「解説弁護士職務基本規定第3版142頁には、「本条は、国選弁護制度の適切かつ健全な運用を図るために設けられた義務規定である。国選弁護事件においては、国選弁護人への報酬は裁判所の予算の執行という形で日本司法支援センター(法テラス)を経て国庫から支払われており、国がその費用を支出して、自ら弁護人を選任することのできない被疑者及び被告人に弁護人を付することとされているのであって、この制度のもとで、国選弁護人が被疑者及び被告人から弁護活動の対価を受領することは、国選弁護人全体の職務の公正さを疑わせ、ひいては国選弁護制度の公正さを害するにいたるものとなって制度の趣旨に反することから、弁護人が被告人その他の関係者から弁護活動の対価を受領することを禁止した規定である。」とかかれています。

この説明は明らかに変です。国選弁護人の報酬は、先に述べましたように、国が負担するのではなく、原則として被疑者及び被告人の代理支払に過ぎません。日弁連は事実誤認をしています。

規程49条2項については上記解説には、「本条2項本文の趣旨は、国選弁護人が、報酬が低額であること等を理由に十分な弁護活動ができないなどとして、被告人その他の関係者に対し私選弁護人に選任するよう働きかけることは、国選弁護人全体の職務の公正さを疑わせ、ついには国選弁護制度の公正さを害するに至ると考えられることから(注釈倫理162頁)、これを原則として禁止することにある。」

「国選弁護人が、報酬が低額であること等を理由に十分な弁護活動ができないなどとして、被告人その他の関係者に対し私選弁護人に選任するよう働きかけることは、国選弁護人全体の職務の公正さを疑わせ」というのは、国選弁護人報酬が実際に不当に低額であるという事実を国と一緒になって隠蔽するものです。日弁連の解説に「注釈倫理」が引用されていますが、これは、かつて日弁連には「弁護士倫理」というものがあり、その注釈書です。弁護士倫理は倫理であって、個々の弁護士を拘束するものではありません。倫理については、各弁護士に思想信条の自由があります。

ところが、2004年に弁護士職務基本規定が定められ、弁護士倫理は廃止され、禁止事項に違反した弁護士は懲戒処分を受けるという制度に変えられました。これは、法テラスの出現とあいまって、日弁連が弁護士を法務省の下部機関に従属させるお手伝いをしていることになります。