司法修習生の「給費制」廃止は憲法違反(違憲訴訟の何がダメだったか、給費制復活のまやかし)
元司法修習生が起こしていた「給費制」廃止の全訴訟の敗訴が確定したという報道がありました。
敗訴確定は残念なことですが、私にとってそれ以上に残念なのは、その訴訟で本質的な議論がなされなかったことです。
2011年に司法修習生の給与が廃止されました。一般には「給費制」が廃止されたと言われていますが、それは司法制度改革審議会(司法審)の意見書の用語です。この用語は、司法修習生には、「給費制」と「貸与制」のどちらの制度も選択可能であるという主張が込められています。つまり、学生に対する奨学金に貸与制と給付制があるように、司法修習生も学生と同種であると決めつけるための用語が「給費制」でした。しかし、司法修習生には制度創設の当初から給与が支給されていますので、学生ではなく職業であることが明白だと言うべきです。
それにもかかわらず、元司法修習生の「給費制廃止違憲訴訟」の原告団・弁護団は、最初から「給費制」という、司法審の意見書の主張に従って、訴訟を提起したのです。原告団・弁護団は訴状で、司法修習生は学生ではなく職業だという主張もしていますが、本質的な議論は最初から避けられていたというのが私の感想です。
給費制が復活したとも言われていますが、給与は復活していません。
詳しくは、「司法修習生の「給費制」問題の議論で抜け落ちているもの」(アーカイブ2020年9月10日~)に書きました。