法テラスは違憲(2)

刑事事件では弁護士は国家権力と対立する立場ですから、国から独立していなければならないのですが、それに対し、国選弁護人は元々、国が選任して国が弁護人に報酬を支給するのだから、何も問題にならないのではないかと反論されるかもしれません。

国選弁護は憲法37条3項「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」に基づいています。第1文は私選弁護人、第2文は国選弁護人を規定していますが、第1文の弁護人と第2文の弁護人には質的な違いはないはずです。そうすると、被告人は、直接弁護人を選任することができないので、国が弁護人を選任しますが、国選弁護人の依頼者も、国ではなく被告人と考えられます。

国選弁護人は、被告人にお金がない場合にだけ選任されるのではありません。お金が十分あっても、知っている弁護士がいない場合にも選任されます。弁護士の報酬は、普通、着手金と報酬ですが、国選弁護の場合は着手金はなく、原則として全額後払いです。その報酬は、まず国が支払い、有罪判決を受けた被告人が国に支払うという関係になります。無罪の場合は当然国の負担ですが。ただ、有罪の場合でも、被告人が貧困の場合、被告人に費用を負担させないとすることができるようになっています。

被告人が弁護人の報酬等を負担するのですから、国選弁護人も被告人から、依頼を受けていることになると考えられます。被告人が貧困の場合でも、国選弁護人に変わりはありませんから、国が弁護人に報酬を支払うのではなく、被告人が国の扶助を受けて弁護人に報酬を支払うのだと考えられます。

ところが、現実の私選弁護人と国選弁護人を比べてみると、私選弁護人は被告人から依頼を受けているのに、国選弁護人は被告人から依頼を受けているのではなく、法テラスに雇われているというのが実態です。国選弁護人の活動の規制も、報酬や弁護活動のための諸費用の基準も法務大臣と法テラスが一方的に決める制度になっています(法律事務取扱規程、国選弁護人の事務に関する契約約款)。このような基準に基づいて、弁護士は法テラスの監督に服しています。

このように、国選弁護人は法務大臣、法テラスに従属的な立場を強いられているのです。このような制度設計が行われたのは、国が弁護人のために報酬等を支払っているという基本認識があるからです。弁護人に金を出す以上は、口も出すという考え方です。しかし、国が扶助する相手は弁護人ではなく被告人だとすれば、国が弁護人の活動に口を出す根拠はありません。また、元々、被告人に弁護人費用を負担させるのが原則ですから、国が金を出しているという認識そのものが間違っています。