日本は、ガザの即時停戦とパレスチナ難民の救済に本気で取り組むべき

2024年2月19日、ANTIWAR.COMに、以下のAaron Mate誌の記事が紹介されました。

https://www.aaronmate.net/p/for-biden-ending-israels-mass-murder
For Biden, ending Israel’s mass murder in Gaza is a ‘non-starter’
バイデンにとって、イスラエルによるガザでの大量殺戮の終結は「起動装置なし」

As Palestinians face mass starvation and new ethnic cleansing in Rafah, the White House rejects even token humanitarian gestures.
ラファでパレスチナ人が大量飢餓と新たな民族浄化に直面する中、ホワイトハウスは人道的行動のジェスチャーすら拒否している。

Aaron Mate 2024/02/19

At the White House last week, President Biden claimed to have concerns about Israeli plans for a ground invasion of Rafah, the southern Gaza area where more than one million Palestinians have fled. In the process, he committed a gaffe that revealed his actual stance.
先週、バイデン大統領はホワイトハウスで、100万人以上のパレスチナ人が避難しているガザ南部のラファへのイスラエル軍の地上侵攻計画に懸念を抱いていると主張した。その過程で、彼は実際の姿勢を露呈する失言をした。

“Our military operation in Rafah,” Biden began, before correcting himself. “Their ? the major military operation in Rafah should not proceed without a credible plan… for ensuring the safety and support of more than one million people sheltering there. They need to be protected.”
バイデン氏は、「ラファにおける我々の軍事作戦」と話し始めてから、訂正した。 「彼らの? ラファでの大規模な軍事作戦は、信頼できる計画…そこに避難している100万人以上の人々の安全と支援を確保するための…なしには進めるべきではない。彼らは保護される必要がある。」と。

Although unintentional, Biden was accurate to refer to an Israeli military operation in Gaza in the possessive form. Every Israeli atrocity in Gaza is committed with US support. Accordingly, within 24 hours, the White House made clear that despite Biden’s words of caution, only Israel’s mass murder campaign will remain protected.
意図的ではないが、バイデン氏がガザでのイスラエル軍の作戦を「我々の」と呼んだのは正確だった。ガザにおけるイスラエルの残虐行為はすべて、アメリカの支援を受けて行われている。したがって、24時間以内にホワイトハウスは、バイデンの注意の言葉にもかかわらず、イスラエルの大量殺人行動だけが保護され続けることを明らかにした。

According to three US officials, the Biden administration “is not planning to punish Israel if it launches a military campaign in Rafah without ensuring civilian safety,” Politico reports. Therefore, “no reprimand plans are in the works, meaning Israeli forces could enter the city and harm civilians without facing American consequences.” In another likely sign that Biden supports an Israeli assault, its allied regime in Egypt ? a US client state — is now building an 8-square-mile walled enclosure that would cage fleeing refugees on its side of the Rafah border.
3 人のアメリカ政府関係者によると、バイデン政権は「イスラエルが市民の安全を確保せずにラファで軍事作戦を開始した場合、イスラエルを罰する計画はない」とポリティコは報じている。 したがって、「懲戒計画は策定されていない。つまり、イスラエル軍がラファに進入して市民に危害を加えても、アメリカは何もしない、ということだ。 バイデンがイスラエル攻撃を支持している可能性のある別の兆候として、アメリカに依存しているエジプトの同盟政権は現在、ラファ国境の自国側に逃げる難民を閉じ込める8平方マイルの壁で囲まれた囲いを建設している。

Biden’s spokespeople have also relayed that Israel has his green light to harm Rafah’s civilians.
バイデン氏の報道官はまた、イスラエルがラファの民間人に危害を加えることにゴーサインを出していると伝えた。

以上の記事から分かることは、アメリカのバイデン政権は、ガザでの軍事作戦をイスラエルと共同して遂行しているということです。
バイデン大統領はイスラエルのガザ攻撃に懸念を示しているというような報道がありますが、実態を調べずに、口先だけの話をそのまま拡散しているにすぎません。
そのためか、ガザに関して、イスラエル大使館への抗議行動をしている人々もアメリカ大使館への抗議行動はしていないようです。しかし、それではアメリカの罪を見逃すことになると思われます。

国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置命令の一つである2月26日の報告期限が迫っていますが、イスラエルは暫定措置命令を遵守する気がないようです。

ICJは、イスラエルによるパレスチナの占領が違法であるかどうかについて意見を求める2022年の国連総会決議を受け、これについても2月19日から2月26日まで審理を行っているところです。

パレスチナのガザ地区ではイスラエルの攻撃による死者がまもなく3万人を超えようとしており、死者の4割以上が子どもだと言われています。それに、住む家もなく、飢餓と劣悪な衛生状況による疫病が追い打ちをかけているということです。

今日2月21日も、国連安全保障理事会で、ガザの即時停戦決議にアメリカが拒否権を行使したというニュースが流れました。日本は決議には賛成したそうですが、それなら、アメリカに追随して国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への救済資金の拠出を停止しているのを即時撤回し、拠出を再開するべきだと思います。自公政権は、他の国には大金をばらまいていますが、毎日、生きる心地もしないガザの人々の状況を見聞しても胸が痛まない冷酷な人ばかりなのでしょうか。

2024年2月23日追記

イスラエルとパレスチナに対する欧米のダブルスタンダードについては、伊藤和子弁護士が公益財団法人日弁連法務研究財団に提出した2014年5月21日付け「国連人権理事会、及び関連する国連諸機関における新たな国際人権保障メカニズム、人権アドボカシー活動方法の研究」と題する報告書https://www.jlf.or.jp/assets/work/pdf/kenkyu-no71_houkoku.pdfにも言及されている。

以下、同報告書より引用

2 人権理事会、国連総会、安全保障理事会に関わるアドボカシーについて
パレスチナ問題を例に
当研究でフォーカスしたパレスチナの人権問題を素材に、国連での人権門帯解決プロセスとアドボカシーについて概説し、課題を論ずる。
(1) 2008年12月27日から1月18日まで、パレスチナ・ガザ地区に対し、イスラエル軍が空爆・侵攻し、1400人もの人命が犠牲となり、その多くが民間人であったと報告された。
(2) これを受け、国連人権理事会は、2009年1月9日および12日に、緊急に、第9回特別会期を開催、イスラエル当局に攻撃を即時に停止すると共に、国際人権・人道法違反を調査する事実調査ミッションを派遣することを決定し、その調査団は人権理事会議長によって任命されると決議した。
(3) 国連人権理事会議長は2009年6月までにリチャード・ゴールドストーン氏(南アフリカ憲法裁判所判事、旧ユーゴ戦犯法廷検察官)を長とする国連の事実調査団を選任、6月1日から調査が開始された。
この調査にあたり、調査団はイスラエル政府の理解・協力を求めたが、イスラエル政府は一切これに協力しないとの態度を明らかにした。そこで、同調査団は、エジプト政府の協力を得てガザ地域に入り調査を行うこととなった。同調査団は、イスラエル、パレスチナ武装組織双方の36件におよぶ国際人権・人道法違反を調査、本年5月かに7月にかけて二度にわたりガザ地域を調査、ガザとジュネーブで開催した公聴会で38人の証言を聴取、さらに、188人をインタビューし、300以上の報告書を検討、紛争地関係者から情報提供を受けた1万ページ以上の文書を超す文書、1200以上の写真、30本以上のビデオテープを調査した。
(4) 研究員らが人権理事会での調査を実施中の2009年9月15日、リチャード・ゴールドストーン氏を団長とする国連独立調査団が、2008年12月以降のガザ紛争に関する調査報告書を発表した。65574ページにわたる報告書は、イスラエルの軍事行動について国際人権法・人道法に対する重大な違反が証明された、とし、戦争犯罪に該当する軍事行動が行われた、と結論付けた。また、ガザ封鎖を通じて人々から生計の手段、家、水、移動の自由等を奪うことがジュネーブ条約等違反と同時に「人道に対する罪」が認定される可能性がある、と認定した。同時に報告書は、パレスチナ武装組織の行動に関しても、戦争犯罪に該当すると結論づけた。戦争犯罪と指摘された事実には、モスクで礼拝中の人々への攻撃、白旗を掲げて安全な場所に移動しようとした人への攻撃、病院で手当てを受けている人々への攻撃、白リン弾による攻撃など、意図的な民間人攻撃の具体的事例が多く含まれ、証言で裏付けられている。
報告書は、国連および当事者に様々な勧告を行った。
まず、国連人権理事会に対しては、以下の勧告をしている。
① 本調査団の勧告を支持し、勧告の実施に必要な行動をとり、勧告の実施状況を監視すること
② 国連事務総長に対し、本報告書を安全保障理事会に提出するよう求めること
③ 国連総会および国際刑事裁判所検察官に本報告書を提出すること
次に、特に注目されるのは、下記の安保理に対する勧告である。
① 安保理は、国連憲章40条に基づき、イスラエルとパレスチナ当局に対し
・本調査報告書に指摘された国際人権・人道法違反に関し、国際基準に立脚した、独立性のある調査を三か月の期間内に実施すること、
・ さらに三か月以内に、いかなる調査および訴追が行われたかを報告すること
② 国連安保理内に、イスラエルによる国際人権・人道法違反の調査状況を監視する専門家の独立委員会を設置して監視を行うこと
③ 上記6か月以内に、誠実な調査・訴追がなされない場合は、国連憲章7章に基づき、ガザ紛争に関する一連の事案につき、国際刑事裁判所(ICC)に付託すること
最後に、国連総会に対しては、ガザにおける軍事行動における本調査報告書などが指摘する国際人権・人道法違反行為に対する責任追及のために国連安保理がいかなる措置を取ったかの報告を求めるよう勧告している。さらに、国連総会には、「平和への結集」(国連総会決議377(V))などに基づき、安保理の措置に付加して取るべき行動を検討することもできる、と示唆している。
(5) これを受けて、国連人権理事会は2009年9月29日、ガザ問題に関する討議を行い、ゴールドストーン氏らによる報告とともに理事国・NGOによる討議が行われた。しかし、第12会期人権理事会では、この問題に関する決議が採択されないまま、人権理事会が閉会となった。この背景には、イスラエル政府からの強い反発があったことと併せ、米国オバマ政権が、当時中東和平交渉を進めており、ゴールドストーン報告に基づく決議採択が和平に悪影響を及ぼすなどとしてパレスチナ自治政府を強く説得した結果、パレスチナ自治政府が決議採択を望ましい態度を示したことによるとされた。
(6) しかし、アラブ諸国の要請に基づき、2009年10月15、16日に、ガザ問題に関する国連人権理事会の12回特別会期が行われ、16日に決議が採択された。
その内容は、人権理事会がゴールドストーン報告を歓迎し、その勧告を承認すると共に、開催中の国連総会(64会期)の正式議題としてこの勧告について議論することを求め、人権理事会として勧告の実施状況をモニタリングしていくことなどを決議した。66
このように、急遽国連人権理事会特別会期が開催され、決議が採択された背景には、パレスチナ住民の強い世論があった。
パレスチナ住民は、9月人権理事会におけるパレスチナ自治政府の弱腰の対応に強く反発、憤慨し、正義の回復に向けた措置を取るように要求し、ゴールドストーン報告を封印したままでは、パレスチナ自治政府の政権運営が立ち行かないほどの事態となった。
(7) 2009年11月4日、国連総会は、国連人権理事会の勧告を受けて、ガザ紛争に関する国連独立調査団に関する報告書について討議を行った。この国連総会会合に先立ち、バン国連事務総長も、イスラエルとパレスチナ当局それぞれに、国連調査団の求める「完全で独立した、公正な調査」を行うよう求めた。
世界の人権NGO34団体も10月30日付けで、全ての国連加盟国に対し、ゴールドストーン勧告を支持し、イスラエルとパレスチナ当局に対し独立して国際基準に合致した人権侵害の調査を行うことなどを求める国連総会決議を採択するよう求める共同書簡を送付した。
国連総会は11月4日の討議を受け、紛争の両当事者に対し、「3ヶ月以内に、国際基準に立脚した独立した信頼性の高い調査」を行うように求める決議を採択した。
ところが、2010年2月になっても、両当事者とも、調査報告を出したものの、求められる満足な調査を履行しないまま、責任を全否定するものであった。
そこで、国連総会は2月26日、ガザ紛争に関する事実調査について、国連事務総長に5ヶ月以内にさらなる報告書を提出するよう求める決議を採択し、紛争の両当事者の調査の回答を待つ期間を5ヶ月間延長することにした。
それまで、ゴールドストーン調査報告に関する決議については、アラブ諸国と途上国が賛成、米国とイスラエルが反対、その他の欧州諸国や日本は棄権、という分裂した投票行動になっていたが、この2月の総会決議では、日本、イギリス、フランス、中国も棄権から賛成に回り、欧州諸国の多くが賛成したという点で、意義があった。しかし、紛争当事者の非協力的態度は深刻であった。
(8) しかし、その後も、特にイスラエル政府からは、適切な調査報告書は提出されなかった。こうした事態にも関わらず、国連安保理は、ゴールドストーン報告の勧告にも関わらず、一度もガザ問題に関する討議を行わなかった。
紛争当事者に独立性と信憑性の高い調査を求めることも、ICC付託についても、その前段階の調査のモニタリングについても、何らのイニシアティブも果たさない。これは安保理で拒否権を有する米国の強い反対を反映したものと考えられている。
以後、国連人権理事会は、この問題に関するモニタリングを継続しているものの、ゴールドストーン報告が勧告をした人権侵害に対する適切な調査と責任追及・アカウンタビリティの確保という、極めて重要な行動は実現せずに今日に至っている。

以上、引用終わり

2023年10月7日のハマスによるイスラエル人への攻撃、人質連行を契機とするイスラエルのジェノサイドは、欧米、日本に重大な責任があることを理解しなければならないと思います。現状は法の支配が欧米によって蹂躙されてきた結果です。
上川外務大臣はブラジルで2月21日、22日に開催されたG20外相会合において、ロシアのウクライナ侵攻を暴挙であり、法の支配への大いなる挑戦だと非難しましたが、イスラエルの非道に対しては、「懸念する。」にとどめるというダブルスタンダードぶりです。

→ イスラエルのガザへのジェノサイドに思うこと