破産についての基本的な考え方(2)

江戸時代との比較

明治政府は、破産については商人破産主義を取り入れましたが、商人以外については、刑法に、家資分散の際の財産隠匿を罰する条文を置き、別に家資分散法を制定しました。それは江戸時代の制度から来ています。

江戸時代には、破産に似た制度として、「分散」(ぶんさん)と「身代限り」(しんだいかぎり)という制度がありました。

身代限りは、債務者の負債が全財産を超えてしまった場合に、債権者が申し立てて、裁判により債務者の全財産を取り上げて、債権者への支払に当てるというものです。破産というよりは強制執行に近いものです。

享保時代以後は、債務者は債務の一部を弁済すれば残金については分割弁済で強制執行を免れるなど、債務者保護の傾向が強められていました。

分散は、債権者が多数の場合に、債務者が債権者の相当数の同意を得て申立てるもので、全財産を債権者に差し出して、その売却代金を各債権者に配当させる制度と言われています。(石井良助「近世民事訴訟法史」)

身代限りも分散も、栄誉権や資格を失うものとされていますが、債務者には取り立てを免れるメリットがありました。身代限りでは債務は免除されませんが、支払能力が回復するまでは取り立てを免れることになっていました。

それに比べ、明治の商人破産制度は債務者にとって相当苛酷な内容のものでした。