日本の裁判官弾劾裁判制度の総括

2024年4月3日、裁判官弾劾裁判所は岡口裁判官に対し罷免の判決を言い渡しました。
この時点で、日本の裁判官弾劾裁判制度を廻る問題について総括してみたいと思います。
1 私が何より問題だと思うことは、日本の法曹も憲法学者も、日本の統治機構の重大な欠陥について無関心であることです。
2 日本では、歴史的に、司法権の独立、裁判官の独立が尊重されず、岡口事件についても、その潮流・状況が端的に現れています。
3 裁判官の独立が保障されなければ法の支配は骨抜きになります。日本の裁判官は、立法権、行政権からの独立を脅かされる前に、歴史的に最高裁事務総局からの独立もありません。
4 最高裁事務総局は旧司法省官僚の伝統を引き継いできました。大阪国際空港騒音公害訴訟事件では、最高裁に法の支配がなかったことが、団藤判事の手記により明らかになりました。
5 憲法の「弾劾」の文言は、マッカーサー草案の「Impeachment」の訳語ですから、明確にアメリカ合衆国憲法に由来します。
ところが、裁判官弾劾法の中身は、旧時代の判事懲戒法をほぼ横滑りさせただけですから憲法の文理解釈によれば明白に違憲です。いかに「弾劾裁判所」という看板を掲げても、実態は「弾劾裁判所」ではなく「懲戒裁判所」です。弁護士の中には、岡口裁判官に対する弾劾裁判所の罷免判決に驚いている人が多いようですが、裁判官弾劾法の中身をほとんど知らないのではないかという疑いがあります。それだけ、皆、日本の司法制度に対し無関心なのです。
6 弾劾裁判所は早々と職務停止を決定しましたが、刑事手続ではありえないことです。訴追委員会の嫌疑を引き継いでいます。その予断を維持した「弾劾裁判所」が審理して判決する手続に誰も違和感をいだかないのでしょうか。
7 はっきり言って、日本の立法も司法も腐っています。制度に対する反省も聞こえて来ません。

 

参考

日本の裁判官弾劾裁判所は違憲  2021年6月18日

岡口裁判官弾劾裁判は何が問題か──罷免に反対というだけで済ませてはならない  2022年3月12日

岡口裁判官の職務停止決定の違憲は明らか  2021年8月20日

裁判官弾劾裁判所に関する全国憲憲法問題シンポジウムについて  2021年9月23日

裁判官弾劾裁判所だけでなく懲戒制度も違憲(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)

岡口裁判官に対し「洗脳」で慰謝料の不当判決について 脆弱な日本の司法」

司法修習生の「給費制」問題の議論で抜け落ちているもの(5) (竹内浩史判事報酬差別問題も裁判官の独立の問題です。)

日本には司法権の独立・法の支配がない 大阪国際空港公害訴訟等に見る最高裁のスキャンダル